9月あたりにふと思い立ち、同人誌を刷ってもらうことにしました。が。
「自分の印刷ってどんな感じに出るんだろう?」
同じ原稿でも頼む印刷所さんごとに、印刷の出方はマチマチなのは理解している。
しかし、私にとってベストな印刷所さんはどこなのだろう…??
じゃあ、調べてみるか!
ということで、同じ原稿を利用して、複数の印刷所さんで刷ってもらいましたのでレポートしたいと思います!
私が今回試したのは「オンデマンド印刷」です。
オンデマンド印刷の場合、オフセット印刷と比べて、時期などによって同じ印刷所さんでも全く同じ刷り上がりにはならないとのこと(各印刷所さんの注意事項として書かれていることが多いです)。
なので、あくまで「今回の自分の場合」として見ていただけたら!
今回「創作BL」本を印刷してみたものとなります。
それっぽいシーンや絵は全く出てきませんが、苦手な方はご注意ください。
今回の絵柄・カラーなど詳細
私が今回入稿したのは、「表紙カラー・本文モノクロ」のオーソドックスなスタイルです。
サイズはB5で28Pと、これまたボリューム層だと思います。
実際に入稿した表紙
左側(スマホでは上)がCMYK印刷の入稿に使用した表紙画像、右側(スマホでは下)がRGB入稿で使用した表紙画像です。
なんで背景色が違うかというと、こんな蛍光グリーンはCMYKでは途方もなくくすむからです。
これはもう仕方がないので、自分の中で許せる色味にしました。
RGB版は…正直RGB入稿であっても、ここまでのグリーンは出ないだろうな…という想定で、
ちょっと意地悪といいますか、「どこまで色が出るんだろう?」と実験の気持ちもあり、
ガチガチ蛍光にしています。
今回の入稿では、なないろ堂さん、グラフィックさん、プリントオンさんにRGBデータで入稿しました。
実際に入稿した本文(グレースケール)
グレースケールでトーン化なし。
モアレ覚悟で、一部トーン(網点)と塗りを重ねてもいます。
使用しているペンは自作ですが、クリップスタジオペイントの「丸ペン」をいじったものなので、大体同じと思っていただければいいかなと。
主線は4px~6Pxくらいでベクターレイヤーに描いた後、一部線を太らせたりしています。
多分線は細めなんじゃないでしょうか。
タッチはガサガサ系ではない…と思います。
全体比較~!!
せっかくなのでずらっと並べてみました。
おんなじ絵ばっかりよくもこんな並べられたものだな…。
プリントオンさんは後から思い立って試し刷りしていただいたので、一覧にはありません。
あとなないろ堂さんは試し刷りなので裁断されていない状態(ペラ)です。
こう見ると結構色の出方が違いますね~。
シメケンプリントさん
※画像クリックでもっと細かく(大きく)見れます!
表紙用紙 | ヴァンヌーボ150kg(標準) |
本文用紙 | コミック紙(アドニスラフ/標準) |
利用オプション | なし |
特記事項 | |
印刷所URL | https://shimeken.com |
カラー表紙の感想
カラーは今回お願いした印刷所さんの中でもC(シアン)が強い印象。
肌色もちょっとブルベ味が強くなってますし、イエロー部分も少し緑がかったように見えます。
青系のカラーを多用する方にはいいのかも?
逆に暖色系カラーを使われる際は、C寄りになることを想定して塗る方がいいかな…?
私は結構暖色(特にピンク)やグリーン系を多く使うので、
今後使わせていただく時には気をつけたいところ。
今回は紙のヴァンヌーボと合わせて、シックで大人っぽい表紙に仕上がってます!
本文の感想
細い線もキレイに出していただいていて、裏写りも特に気になりません。
グレスケの濃淡部分も特に不満なし!キレイだと思います。
もしかしたら他の印刷所さんに比べると、ちょっと筆のタッチが残るかも…?ってくらい。
テカリについては、別に気にするレベルではないかと…。
ベタ塗り部分の面積が多いと多少光るかな?って感じですが、
コミック紙のおかげか「テッカテカじゃん!!」ってことにはなってないです。
表紙をグレスケ化したページもキレイに出していただいていると思います!
全体的な感想とか特記事項とか
他の印刷所さんで刷ってもらったものと並べると、やっぱりシアンが強め。
でもカラーの発色自体は淡めに感じます。
水彩画とか、淡い色味で優しく出したい方にはいいかも?
あとシメケンさんは入稿データを利用してオンデマンド販売(注文が入った分だけシメケンさんが印刷してくれる)ができるのも個人的には便利ポイントかなと思いました。
印刷そのものとはちょっと関係はないんですけども…。
なないろ堂さん※試し刷り利用
表紙用紙 | キュリアスIR(パール) |
本文用紙 | 淡クリームキンマリ95kg |
利用オプション | なし |
特記事項 | 表紙RGB入稿可能 |
印刷所URL | https://nanairodo.jp |
カラー表紙の感想
RGB対応というだけあってキレイに出していただいています!
写真ではキュリアスのパール感で全体的に薄く見えちゃってますが、発色自体はとっても鮮やか。
色の出方を比較したかったので、唯一背景は左半分がRGB用の蛍光グリーン、右半分がCMYK用の青みがかったグリーンの2分割にしたのですが、CMYK用の背景部分も、明らかに彩度が上がって鮮やかな発色になっているのがわかります。
裏表紙部分のピンクは発色が控えめ。
まあこっちも元原稿はサイケなピンクなので、十分鮮やかなのですが…。
(キュリアスが少しオレンジみがかってる紙なので仕様だと思います)
本文の感想
本文もキレイに印刷していただいています(多分全部そう言います)。
線の太りも感じないですし(まあそこまで違いがわかるような目もないし、そんな繊細な絵柄でもないんですが…)。
敢えて何か言うのであれば、インクの反射はちょっとあります。
濃度的に薄めのところでも、光が当たるとちょっとキラっとしますね。
オンデマ的なテカリがある!と思う人は思う…かも?
あくまでテカリを見るために光に敢えて当てたらそんな感じってくらいなので、
本として読む分には気にならないレベルだと思います。
全体的な感想と特記事項とか
今回表紙+4Pモノクロ印刷のお試しプリントでお願いしましたが、
表紙が本当に鮮やか!
個人的に自分の出て欲しい色をかなり忠実に出していただけたので、カラーの相性がいいのだと思います。
機会があればぜひ利用してみたいと思う印刷所さんのひとつです。
本文はね…どうなのでしょう…?テカリ、気になる方は気になるのかな…?
ってラインです。
色々印刷所さんで資料を取り寄せていますが、もっとテカリを感じるところもあるしなあ…。
ただ、少年漫画チックなタッチでベタが多いと、ちょっと気になるかもしれません。
繊細な絵柄やトーン使いなら、全然気にならないと思います!
あと非常に個人的なことなんですが、廃盤前のキュリアスに印刷ができてとてもよかった…よかった…。
しまうま印刷(プリント)さん
表紙用紙 | アート系コート紙(詳細不明/指定不可) |
本文用紙 | コミック紙(指定不可) |
利用オプション | PP加工 |
特記事項 | 裏面にバーコードあり |
印刷所URL | https://publish.n-pri.jp |
カラー表紙の感想
色の出が今回お願いした印刷所さんの中で一番濃いです!
PPをお願いしたからかな…?それを差し引いても濃い目の出方って印象です。
他の印刷所さんでは肌色のベースカラーが淡い色なのですが、しまうまさんだと血色がいい感じwでも決してMが出すぎているというわけではなく、色のバランスは非常によくて、ほんと原稿のまま素直に出てるね!って思います。
本文の感想
コミック紙の手触りがよい~~!!!
他の印刷所さんの「コミック紙 ホワイト」に近いのかなぁ…?ルンバとかあっち系かなあ…?
指の引っかかりは上質90くらいですが、ほんと気持ちよくてずっと触っていられます。
紙の話になってしまった…ので、印刷のお話に。
今回お願いした印刷所さんの中で、一番色の出方が薄いです。
黒は黒できっちり出てるんですが、濃淡の出方が薄くなるのかな?
他社さんに比べると同じ濃度でも5~10%くらい薄く見えます。
(モノクロ1つめの画像を見比べていただくとわかるかも)
あと、細すぎる線はちょっとかすれるかも…。
他の印刷所さんではかすれていなかったところが、1箇所かすれてました。
まあ極細の線なので気になるほどではありませんが、繊細な絵柄の方は注意かも。
全体の感想と特記事項
しまうまプリントさんはTポイントが支払いに使えるので、
ポイントで実質ただで印刷することもできます!スゴイ!
(実際私はTポイントでお試し印刷したので、87円で作りましたw)
用紙などは選べませんが、Pixiv FactoryやBooknextみたいにプレビューでチェックしながらPNG入稿が可能なので、PSDやpdfで原稿を作るのが難しい環境の方にもオススメです。
ただ、どうしても裏表紙にバーコードが入っちゃうので、そこは注意ですね。
バーコードが入っても大丈夫なデザインにしちゃうか、デザインに組み込んじゃうくらいの気持ちがいいと思います。(おんなじこと言ってね?)
あと、製本がめっちゃピシっとしててキレイです。カチっとしてます。
PP加工しても反りが一切ないのもよきかなと。
さすが大きい印刷所さん(多分?)だな~と感心いたしました。
ラクスルさん
表紙用紙 | コート110kg |
本文用紙 | 上質紙90kg |
利用オプション | なし |
特記事項 | |
印刷所URL | https://raksul.com |
資料請求した際、クーポン利用で1冊無料で作れるとのことで、急遽お願いしてみました。
どうせ無料だからといって、1日配送を選ぶ鬼畜スタイル。
今思えば他の加工を足したりしても値段変わらなかったのかな…?
色々試してみればよかった(鬼畜)
カラー表紙の感想
シンプルな感想になってしまうんですが、キレイなCMYKです。
さすが大手…!
コート紙だからかもしれませんが、主線(黒)部分のトナーが少し盛り上がっているのか、表面を触るとこう…なんというか…インクが乗っているのを感じます。
私はこういう感じは好きなのでずっと触っていられるんですが、
フラットにインクが乗って欲しい方はちょっと辛いかも。
本文の感想
こちらもキレイに印刷していただいてます!
が、他の印刷所さんに比べると濃いと薄いの差が激しいかも?
なんというか、80%以上はしっかり濃くて、15%未満は結構薄く感じる…みたいな。
ちゃんとグラデーションもキレイにでているし、全体的に濃いってわけではないのですけども。
ベタ塗り部分(濃度50%以上くらい)はちょっと中ではテカって見えるかもしれません。
けど、テカリ方がキレイです。ファンデーションの崩れ方がキレイみたいになってるけど。
少なくともマット味はないかな…?
全体の感想と特記事項など
正直ラクスルさんで同人誌刷るって方まあいないと思うんですがw
参考程度に見ていただければ…。
こういう系統の印刷をお任せする印刷所さんではないイメージなので、どないかな?とは思っていたんですが、キレイに作っていただけて「おお…すげえ…」ってなりました。
今回は1日で刷るという鬼畜の所業をしてしまったので、
もしかしたら7営業日取れば、もっとキレイな印刷だった可能性があります。これはマジで。
ちょ古っ都製本工房さん
表紙用紙 | ペルーラスノーホワイト |
本文用紙 | 淡クリームキンマリ95kg |
利用オプション | 高彩度カラー PP加工 |
特記事項 | |
印刷所URL | https://www.chokotto.jp |
カラー表紙の感想
CMYK入稿なのですが、高彩度なだけあって非常に鮮やかに刷っていただきました。
正直RGBとそんなかわらなくない…?ってくらい。
特にM(マゼンタ)の彩度が高いように感じます。裏表紙のピンク部分がかなり尖って出てます。
元々RGB系カラー使いなので、この出方はかなり自分好みでした。
今回はPPを貼りましたが、貼らなかったらもうちょっと淡い出方だったかも?
気になったことは、今回の私の装丁の場合上向き(外向きというべきかな?)に軽く反りが見られたことかな…。
すべての方が反るかはわかりませんが、(印刷所問わず)PP加工をすると反っちゃうこともあるようなので、ちょっと注意しておきたいかもしれません。
本文の感想
そんなにテカリは見られません(n回目)。
雰囲気としてはなないろ堂さんと同じくらい…かな?
見比べてみたら、なないろ堂さんに比べると少しインク自体が濃い目ですが、ほぼ濃淡の出方とか同じ感じです。
線もキレイに出していただいてますし、細かい部分の潰れもありません。
多少のグレスケの濃淡ムラは出てしまってますが、それは他の印刷所さんも同じというか、グレスケ自体がこんなもんだと思っているので特に不満なく…。むしろキレイにしていただいてるなと思っています!
全体の感想・特記事項など
ちょこっとさんはとりあえず一にも二にも印刷価格がお安くてビックリです。
その上で特殊紙も加工も選べるし、高彩度カラーはキレイだし…!
表紙がちょっと反っちゃうのは気になる部分ですが、そこを差し引いてもすごい…!
次の機会があれば、PPなしで試してみたいと思います!
コミグラ(グラフィック)さん
表紙用紙 | コート180kg |
本文用紙 | なし |
利用オプション | RGB印刷 |
特記事項 | |
印刷所URL | https://www.graphic.jp/comic |
カラー印刷の感想
コミグラさんは本ではなくポストカードの印刷をお願いしたので、表紙絵アレンジのみです。
RGB印刷を利用しましたが、全体的に色がしっかり濃い目に出てます!
(写真でもおわかりいただけると思います)
サイズが小さいのに、しっかり細かいグラデーションもキレイに出していただいていて、
いやはや美しいです…。
次はもうちょっと大きなサイズで見てみたいですね。
光(蛍光灯)に当てると多少の粒子感が見えますが、個人的には全くの許容範囲内です。
全体の感想・特記事項など
同じコート紙に印刷していただいたラクスルさんの表紙と比較すると、
グリーン周りの鮮やかさがやっぱり違うなーという印象です。
でもラクスルさんもかなりキレイに色を出していただいていて、キャラクター部分に絞って見てみると、そんなに遜色なかったりするんですよね…。
もちろんトーンはCMYKのラクスルさんの方が落ちるんですけども、落ち着いた色でいいなら全然という感じ。
コミグラさんは私の色使いだと目が痛くなるほど鮮やかに出していただいていて、
ありがとうございます…!と言いたいです。
プリントオンさん※試し刷り利用
元々予定はなかったのですが、記事を書き上げるまでに時間がかかったことと、
今後利用してみたいなと思っていた印刷所さんだったので、せっかくなので…と
試し刷りを利用しました。
他の写真とは違うタイミングで撮影しているので、比較写真としてはちょっと弱いかも…。
表紙用紙 | コートカード紙180kg |
本文用紙 | コミック紙 ラフ |
利用オプション | RGB印刷 PP加工 |
特記事項 | |
印刷所URL | https://www.print-on.jp/doujin/doujin_index.htm |
カラー表紙の感想
かなりキレイです!
個人的にはモニター再現度が一番高いかもしれない!?
プリントオンさんに限った話ではありませんが、やっぱりRGBは目に入ったときのインパクトが強いですね!(ずっと見てて目がチカチカしてきた)
個人的にはピンクの出方がとっても好きです。
サークルロゴのピンクは「まさにこの色なんだよ!」って言いたくなるドンピシャのところを出していただきました。
本文の感想
今回お願いした印刷所さんの中で一番マットです。
あれ?これオフセお願いしちゃいました…?ってくらいマットです。
グレーの出方は他社さんと比べて大きな違いはないですね。
グレスケの塗りが重なるところもしっかりキレイに出してくださっていて、
これは…ちゃんと本を出したい印刷所さんだあ…ってなりました。
ただグレスケ内のコントラストは若干弱めかも…?
これはコミック紙を選んだ影響の可能性もあるので、ちょっとなんとも言えませんが…。
いやでもしかしマットだなあ…マットです!
総括など!
はい!印刷所さん、個性があってみんなよい!
基本全く同じ原稿を入れているんですが、特にカラーの発色は個性があって面白いですね。
オペレーターさんだったり、印刷機だったりで違うのでしょうけども。
だからこそ自分に合う印刷所さんを見つけることが大事だなあ…と改めて感じました。
最近では試し刷りが可能な印刷所さんも増えてきてますので、
個人的にはまずは気になったら試し刷り!がオススメです。
今回であればシメケンプリントさん、しまうま出版さん、ちょ古っ都製本工房さんは1冊から印刷ができますので、気軽に印刷チェックができちゃうんですうよね。スゴイ!
今回は利用していませんが、オレンジ工房さんやプリペラさんも試し刷りができますので、
機会があればちょっと別の原稿でやってみようかなと思っています!
ちょっとすごいなって思ったこと
この記事を書くに当たって、改めて各印刷所さんにお願いしたものを見比べていたんですが、
RGBの間に挟まってもそんな遜色ないちょ古っ都さんの高彩度カラーってなかなかヤバくないですか?
しかも追加料金無料でできちまうんだ…!!
やっぱり髪の毛頂点のグリーン部分はイエロー味が強くなってますし、
オレンジも黄みがかってるので、じっくり見るとやっぱRGBの方が発色的にはいいな~、自分の絵柄には合ってるな~と思いますが…でもすごいよ…!!
とりあえずまた本作ります!
今回は初めての紙本だったのもあって、はっちゃけていろんなところで刷りましたが…とても楽しかったです。
今後は多分1社さんだけで刷ることになると思いますが、また記録代わりにレポを上げられたらいいなと思っています。
ここまで読んでいただきありがとうございましたー!
さいごに宣伝!!
イラストとか漫画のサイトもやってます!今回刷ったマンガのシリーズも掲載していますので、よければ遊びにきてください✨
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